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第135回 家事事件手続法のポイント

H25.7.23 虎頭 信宏

本年1月1日から、離婚をはじめとする夫婦間の紛争や遺産分割、成年後見等の家事事件の手続を定めた「家事事件手続法」が施行されています。

これまで上記の家事事件は、「家事審判法」という法律に規定されていましたが、家事審判法は、昭和22年に制定されてから大きな改正がなされていなかったため、現在の社会情勢に適合した内容にするために、新たに「家事事件手続法」が制定されることになったものです。

家事事件手続法の主な理念は、当事者の手続保障(当事者が主体的に手続に参加できる機会を保障すること)や家事事件の手続をより利用しやすいものとする、という点にあるとされていますが、今回のコラムでは、実務的に気になるポイントをいくつかお話したいと思います。

  • 申立書の送付

    相手方のある家事審判事件や家事調停事件では、手続の円滑な進行を妨げ るおそれのあるときを除き、原則として申立書が相手方に送付されることになりました(67条、225条)。

    例えば離婚調停においては、これまでは申立書が相手方に送付されなかったので、裁判所(調停委員)に対して、離婚に至る経緯を十分に理解してもらうため、離婚調停の申立書を詳細に書くケースもありましたが、今後は、経緯を詳細に書きすぎることで当事者の対立がより激しくなるリスクも出てくるので、慎重に検討する必要があると思います。

  • 記録の閲覧・謄写

    家事審判事件においては、プライバシー侵害のおそれがある場合等を除き、裁判所は、原則として、当事者による記録の閲覧・謄写を許可することになりました(47条)。

    これに対して、家事調停事件においては、これまでと同様、裁判所が「相当」と認めるときに許可することができるとなっています(254条)。

    ただし、相手方のある事件については、調停が不調になって審判に移行した後、調停で提出した資料が「事実の調査」(56条)の対象となった場合には、原則として閲覧・謄写が許可されることになるので、相手方のある事件においては、調停段階から、上記の扱いを前提に提出する資料を検討する必要があります。

  • 電話会議システム・TV会議システム

    家事調停事件、家事審判事件ともに、当事者が遠隔地に居住している場合などには、手続の期日を電話会議システムまたはTV会議システムを利用して行うことができるようになり、当事者同士が遠隔地に居住している場合にも、調停手続や審判手続が利用しやすくなりました(54条、258条)。

  • 子どもの地位の強化

    (1)  子の意思の把握

    家事事件手続法では、総則的な規定として、家事調停事件、家事審判事件ともに、その結果により影響を受ける場合には、子の意思を把握するように努め、審判や調停にあたり、子の年齢や発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならないとされました(65条、258条)。

    この規定は、日本も批准している国連の「児童の権利に関する条約」12条の子どもの意思の表明権を具体化したものであり、家事事件手続法の重要な新設条項と言われています。

    (2)  また、面会交流などの「子の監護に関する処分」や親権者変更等の調停や審判においては、意思能力(個別的に判断されますが、小学校高学年程度ではないかと言われています。)が認められれば、子ども自らが、当事者や利害関係人として、手続に関与することができるようになりました(151条、168条、252条)。

    これにより、調停や審判において子どもの意思がこれまで以上に反映されるケースも増えてくると考えられます。

    (3)  さらに、上記(2)の場合に、裁判所は必要があるときは弁護士を子どもの代理人に選任することができるようになり(23条)、また、子ども自身が弁護士を代理人に選任することもできます(いわゆる子どもの手続代理人)。

その他、家事事件手続法においては、家事審判事件における陳述聴取(68条)や合意管轄(66条)等の制度も制定されていますので、当事務所としても、法律の内容を十分に理解したうえ、実際の運用をキャッチアップし、依頼者の皆様のお力になりたいと思います。

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