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第29回 パブリシティ権

H22.5.24 松宮 慎
  • パブリシティ権とは何か
    パブリシティ権とは,芸能人やスポーツ選手などの肖像等を保護する権利のことです。
    パブリシティ権と混同されがちな権利として,肖像権がありますが,肖像権は,自分の肖像を許諾なく利用されない権利であり,人格権の一種と考えられています。

    一方,パブリシティ権は,自分の肖像利用に対し,積極的に対価を要求できる権利であり,財産権になります。財産権ですから理論的には他人への譲渡も可能です。著名人の肖像や氏名には顧客吸引力があり,経済的価値が認められることから,その利用について,対価を要求することができると考えられているのです。

    CMに起用されるタレントのギャラは,1本で何千万円になることもありますが,ギャラの高さは,タレントが持っている顧客吸引力,すなわちパブリシティ権の価値を反映しているといえるでしょう。

    有名タレントを広告に起用したいが,うちにはそんな予算はないので,そっくりさんを使おうということもあるかもしれません。しかし,そっくりさんは,本人の顧客吸引力の上に成り立っているわけですから,明らかに本人でないことがわかるような場合(例:和製ビヨンセの渡辺直美)を除いて,本人からも許諾を得ておく必要があると考えられます。

  • 物のパブリシティ権
    人のパブリシティ権が認められるとしても,物のパブリシティ権が認められるかどうかについては争いがあります。

    この点,最高裁は,競争馬の名称をテレビゲームに無断で使用したという事案について,「競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,物の無体物としての面の利用の一態様である競走馬の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく競走馬の所有者に対し排他的な使用権等を認めることは相当ではな」いとして,物のパブリシティ権を否定しています(最判平成16年2月13日民集58巻2号311頁)。

    この最高裁判決を前提とすると,例えば,企業の広告に著名な建築物の写真を利用したとしても,問題はないということになります。

    ただし,建築物が著作物としても認められる場合や,誰もが知っているような著名な建築物である場合は,著作権法や不正競争防止法上問題となる可能性があることに注意が必要です。

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