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第53回 ところ変われば・・・東京の裁判所

H23.3.3 木下 雅之

昨年7月に東京事務所に転勤してから,早8か月が過ぎました。弁護士としての業務自体は,神戸であろうと東京であろうとさほど大きくは変わりませんので,戸惑いも少なかったのですが,むしろ,転勤当初大きく戸惑ったのが裁判所です。今回のコラムでは,コーヒーブレイクとして,東京の裁判所について少しだけご紹介したいと思います。

東京地方裁判所は,東京事務所から歩いて10分ほどの距離にあります。東京事務所は目の前が日比谷公園に面していて,事務所の窓からはちょうど日比谷公会堂が見えます。東京地裁へ行くには,日比谷公園の中を抜けると近いので,いつも法廷に出頭するときには,日比谷公園の中を歩いて行くようにしています。普段は,事務所内で根を詰めて仕事をしていることが多いので,法廷までの道程はちょっとした息抜きにもなります。

神戸地方裁判所本庁は,民事6か部,刑事4か部という構成です。1つの部には3名〜4名程度の裁判官が配属されており,民事の場合,神戸地裁本庁に持ち込まれた事件のすべてがこの6つの部署に割り振られることとなります。それぞれの部署で専門分野がある程度決まっており,たとえば,第一民事部は交通事件,第二民事部は行政事件,第三民事部は倒産事件といった具合に,一般的な民事事件のほかに集中的に取り扱う事件の分野が分かれています。

これに対し,東京地方裁判所本庁は,なんと民事50か部,刑事21か部という構成になっています。神戸地裁本庁も地方裁判所の中では決して小さいほうではありませんので(ちなみに,私が司法修習をした高松地裁は,高等裁判所の所在地でもあるのですが,民事・刑事それぞれ1か部ずつという構成でした。),東京地裁がいかに大きいか,裏を返すと,東京地裁に提起される事件数がいかに膨大であるかということが,裁判所の構成を見るだけでもわかります。

当然,裁判所の建物自体も大きく,法廷の数も多いので,転勤当初の慣れないうちは,裁判所の中で迷っても大丈夫なように,時間に余裕を持って裁判所に出向くようにしていました。中でも最も驚きなのは,東京地裁の入口に設置されている金属探知機です。全国の裁判所でもおそらく東京地裁本庁のみだと思いますが,来庁者は必ず,警備員が立つ空港さながらの金属探知機のゲートを抜けなければ,裁判所内に入館することができません(弁護士は,弁護士バッジを見せることで,専用の入口から入館することが可能です。)。

社会的関心の高い訴訟が多く係属していることも東京地裁の特徴の1つです。社会の耳目を集める訴訟の裁判期日には,マスコミ関係や傍聴を希望する人々の長蛇の列ができることもよくあります。

神戸地裁の場合は,自分の担当している複数の事件が,同じ部に係属することもよくあることですので,ある程度裁判官とお互いに顔と名前も把握できるのですが,東京地裁の場合は,現在のところ,私の担当している事件はすべて異なる部に係属しており,なかなか神戸と同じように顔と名前を把握するところまでには至っていないように思います。そのせいもあってか,東京地裁の裁判官のほうが少し冷たいように感じてしまうのですが,これは単に私がホームシックにかかっているだけなのかもしれません。

いずれにしても,その規模だけみても他の地方裁判所とはケタ外れに大きいことから,今でも東京地裁に足を運ぶだけで,何か刺激を受けて帰ってこられるような気がしています。そうした刺激をエネルギーに変えて,東京事務所の発展につなげていければと思っています。

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