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第54回 0.007%の確率

H23.3.11 平良 夏紀

世間の耳目を集めた某政治家の「強制起訴」によって,再び注目を集めているのが検察審査会です。しかし,裁判員裁判に比べると,国民にはまだ馴染みが薄い制度かもしれません。

福元隆久弁護士(第11回「もう一つの刑事司法改革〜検察審査会法の改正について〜」)では,検察審査会法の改正について弁護士の関わりという視点から,検察審査会の紹介がありました。

今回は,検察審査会がどのように選ばれ,どのような構成になっていて,実際どのようなことをしているかを紹介します。

  • まず,検察審査員はどのように選ばれるのでしょうか。

    検察審査会は,全国の各地方裁判所所在地及び主な支部所在地に設置されています。各検察審査会の管轄区域内の市町村には,検察審査員候補者の員数が割当てられ,選挙管理委員会は,衆議院選挙の選挙人名簿に登録されている者の中から,抽選で割当てられた数だけの検察審査会員候補者を選びます。検察審査会事務局は候補者名簿を作成し,その中からさらに抽選で検察審査員及び補助員が選ばれます。

    検察審査会のホームページでは,検察審査員・補助員に選ばれる確率は0.007%であるという統計が出されています(http://www.courts.go.jp/kensin/q_a/q65.html)。これは,宝くじで一等を当てるより低い確率…ではありませんが,裁判員裁判に選ばれる確率よりさらに低い確率です。したがって,検察審査員・補助員に選ばれた方は,くじ運がいいといえるでしょう。

  • 次に,検察審査会はどのような構成になっているのでしょうか。 

    検察審査会は,検察審査員は合計11名,補助員11名で構成されています。検察審査員・補助員は第1群から第4群まであり,3か月ごとに5名または6名ずつ選ばれます。各群の任期は6カ月なので, 3か月ごとに半数の5名または6名が入れ替わる仕組みになっています。検察審査会は11名揃わないと会議を開き議決をすることができませんので,検察審査員に欠員が出たときのために補助員も同数選ばれます。

  • 検察審査員・補助員に選ばれると,どのような仕事をすることになるのでしょうか。

    検察審査員・補助員は,任期中に月に1から2回招集され,検察審査会議が開かれます。裁判員裁判のように,連日拘束されるということはありません。

    検察審査会議では,検察審査員・補助員は,捜査記録を検討し,必要があれば,検察官に出頭を求めて直接意見を聞いたり,公務所などへ照会をして必要な事項について報告を求めたり,申立人や証人の尋問をしたり,専門家の意見を聞いたりしながら,検察官の不起訴処分のよしあしを判断します。

    議決は,「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」の三種類あり,後二者は過半数で決議されるのに対し,「起訴相当」の決議をするには8人以上の多数が必要になります。

    「起訴相当」と「不起訴不当」の違いは,「不起訴不当」の議決がされたのち,検察官が再び不起訴処分の判断をすれば,その事件の処分はその時点で終局のものとなるのに対し,「起訴相当」の議決がされたのち,検察官が再度不起訴処分とした場合,もしくは期間内に処分をしない場合には,検察審査会は再度の審査を行うことになるという点にあります。再度の審査の結果,再び「起訴相当」の議決がされれば,裁判所により指定された弁護士が検察官に代わって公訴を提起することになり,これがテレビや新聞の報道でお馴染の「強制起訴」となるわけです。

  • 改正検察審査会法は,裁判員裁判と同様にまだまだ新しいですので,検察審査員・補助員に選ばれるというくじ運の良さが発揮されることがあれば,是非司法界のためにご協力いただきたいと思います。

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