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第65回 民事法律扶助制度の現状 ―震災でも多いに活用できる―

H23.7.29 幸寺 覚

私は,現在日本司法支援センター兵庫地方事務所(法テラス)の扶助審査委員長をしており,多くの民事法律扶助事件に接する機会がありますが,ここ20年で民事法律扶助も大きく変わってきましたので,そのあたりの現状をお話し,今後も活発に利用頂きたいと思います。

民事法律扶助制度とは,簡単に言うと,日本司法支援センター(法テラス)が行っている事業の一つであり,経済的にお困りの方が,費用負担ができないために法律相談ができない,民事裁判ができない等のため,法律相談料,裁判費用や弁護士・司法書士費用を立て替える制度です(資力により最終的に免除することも可能です。)。遡れば,昭和27年に日本弁護士連合会によって,財団法人法律扶助協会が設立されたのが始まりですが,兵庫県下でも,平成7年の阪神淡路大震災までは,どちらかと言うと,特別な事件のような印象もあり,事件数もそんなに多いものではありませんでした。しかし,震災で兵庫県では,民事法律扶助制度を使って,被災者の方々を救うことができるということで,多いに活用され,国等から補助金をもらったりして,我々弁護士も依頼者のために民事法律扶助を利用して,お金のことをあまり心配することなく,法的手段を使って救済ができた経験を持ちます。それ以来,兵庫県では比較的活発に民事法律扶助制度が活用されてきました。今回の東日本大震災においても,この民事法律扶助制度などを多いに活用して,被災者の方々を救済できるようにしてもらいたいものです。

そして,平成18年には,日本司法支援センター(法テラス)が設立され,民事法律扶助は法テラスにより運営されることになり,今まで以上に予算も付いたことから,さらに一挙に民事法律扶助制度の活用も活発になりました。ちなみに,民事法律扶助制度利用の要件は,以下のとおりです。

(1) 申込者等(申込者及び配偶者)が資力基準に該当すること
EX 二人家族 手取り月額 251,000円以下(大都市圏276,100円以下)

(2) 勝訴見込みがないとは言えないこと

(3) 民事法律扶助の趣旨に適すること
(報復的感情を満たすだけの場合,権利濫用的訴訟等の場合,極端な少額訴訟の場合などは趣旨に適さない。)

現在の民事法律扶助制度の利用実績をみますと,1年間で(平成21年4月〜同22年3月まで),全国的には,代理援助に係る立替金合計は,約148億円,代理援助事件は,約10万件です。イメージを掴んでもらうために,多少強引ではありますが,単純に全国の弁護士数である約2万7,000人(当時)で割ると(厳密には一部司法書士の受任事件や法テラス常勤弁護士の受任事件もありますが),1年間に弁護士一人あたり,約4件の民事法律扶助事件を扱い,約55万円の立替金が発生していることになり,かなりの数に上っていることが分かります。我々兵庫県下でも,代理援助事件数は,1年間に約4,300件,代理援助立替金は約6億2,000万円となっており,兵庫県下の弁護士数約600人(当時)で割ると,弁護士一人あたり,1年間に約7件の事件を扱い,約100万円の立替金を行っている計算になり,かなり活発に利用されていることが分ります。もちろん,いわゆるリーガルエイドの活発な諸外国と比較すると,まだまだ予算も少ないし,事件数も少ないので,これからますます扶助の範囲を拡大していかねばならないとは思います。

弁護士費用については,交通事故など一部を除いて,医療保険などの制度がないため,依頼者にとっては,そのままの金額が負担になるケースがほとんどでありますが,経済的にお困りの方は,このように民事法律扶助制度を活用して,負担を軽減することができることになりますので,大いに利用して頂ければと思います。

前述しましたが,東日本大震災により,数々の救済制度ができ始めており,そのような救済制度で救済されれば,問題ないのですが,最終的に法的紛争となり,そのような手続を取らねばならないときは,民事法律扶助等の制度を利用することも参考にして頂ければと思います。

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