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第72回 ホノルル雑感

H23.10.20 上谷 佳宏

10月4日から12日まで,ホノルルに滞在し,現地の仕事関係者を訪問してきました。本コラムでは,今回のホノルル滞在で印象に残ったことを何点か報告したいと思います。

一つ目は,当事務所の丸田隆弁護士の紹介を受けて, Sabrina S. McKennaハワイ州最高裁判所判事を訪問した際に気づいたことです。

ハワイ州最高裁判所は,皆さんの中にも行かれたことがある方がおられると思いますが,ホノルルのアリイオラニ・ハレにあるカメカメハ大王像の真後ろにある建物です。ハワイ州最高裁判所には長官を含め5名の判事がいます。現在は,そのうち長官とMcKenna判事の2名が日系人で,しかも両名ともに女性です。

裁判所に入る際には,金属探知機によるボディーチェックを受ける必要がありますが,1階の展示室には,観光客も含めて誰でも入ることができます。McKenna判事の執務室は,2階にあり,部屋の中は個人の好みに合わせてレイアウトや装飾をできるようで,お子様の写真のほかに,コーヒーメーカーと日本語のハワイ州法の解説書が置かれているのが目につきました。

McKenna判事は,日本の法曹事情にも詳しく,日米両国の法曹養成システムの違いや問題点について意見交換をすることができました。McKenna判事のお話はいずれも興味深いものばかりでしたが,その中でも,米国の州最高裁判事も若い弁護士を自分のロークラークとして採用することができることと,ハワイ州の裁判官は弁護士経験が必須で,しかもいわゆる偉そうにする人は,推薦委員会から推薦されないので裁判官にはなれないというお話が印象的でした。ちなみに,意見交換後には,法廷に案内していただき,長官席に座って写真を撮らせていただきました。

米国の裁判所を訪問するたびに感じることですが,裁判所や裁判官は,市民や弁護士に対してオープンな姿勢で積極的に接しています。それは,米国においては,裁判官の独立は,裁判官を形式的に市民や弁護士から隔離しなくても,裁判官の良心と職業倫理観によって実質的に確保できるという確たる認識が,裁判官と市民や弁護士との間で共有されているからであると思います。

二つ目は,日本人ないし日系人弁護士が,日本人ないし日系人のために日本語での法的サービスを充実させていることです。日本語での法律情報の提供は,ニューヨーク等でも見られることですが,ハワイでは,日本語新聞に,多くの弁護士が離婚,移民法,訴訟手続等についての解説をする等して,法律情報をより積極的に提供しています。円高と東日本大震災の影響で,ハワイの不動産を購入する日本人が増大していることも影響しているようです。

三つ目は,旧知の日本人弁護士事務所を表敬訪問したときに聞いたことです。ハワイでは,現在,裁判所と弁護士事務所との間に,コンピュータを利用した映像通信システムを利用して,証人尋問等以外には裁判所に弁護士が出頭しなくてもよいシステムを構築中であるということです。米国や中国では,10年以上前から,法廷内に設置したコンピュータを利用した証拠閲覧や判例調査等のシステムの導入が進められていましたが,さらにE-DISCOVERYや上記システムの構築等が次々と進んでいることには驚かされました。

上記日本人弁護士によれば,クライアントの利便性を別にすれば,弁護士もコストの高いダウンタウンに事務所を置く必要はなく,景色がよくゴルフ場が近い郊外の自宅兼事務所で仕事ができるようになるので,楽しみにしているとのことでした。

今回のホノルル滞在は,約5年ぶりでしたが,この間にハワイの状況は大きく変わっていたように思います。米国のリセッションもあって,ハワイの経済は,ますますアジアとの関係を抜きにしては考えられない状況にあると思いました。

これからは,ますます人や物資そして資金のグローバルな移動が行われ,それに伴う国際的な法的問題が発生すると思われますが,当事務所としても,これらの流れを注視しつつ,クライアントの皆様に必要なリーガルサポートを提供できるような体制を取っていきたいと思います。

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