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反社会的勢力に対する企業の対応

H22.3.1 名倉 大貴

反社会的勢力に対する企業の対応というと,従来は暴力団や暴力団関係者からの不当な要求に対してどのように対応するかということを中心に検討されてきました。しかし,昨今では,反社会的勢力が,外観上は暴力団等とは関係のなさそうなフロント企業を利用して資金を獲得するようなケースも増加しており,反社会的勢力自体の不透明化,資金獲得活動の巧妙化が進んでいると言われています。企業としては通常の取引をしているという認識であっても,知らず知らずのうちに反社会的勢力の資金獲得につながってしまうリスクが増大している状況です。

このような状況を背景に,平成19年6月,犯罪対策閣僚会議幹事会の申合せにより,「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(以下単に「指針」といいます。)が制定され,同時に,同指針の内容の解説(以下「指針解説」といいます。)が公表されました。この指針および指針解説の大きな特徴は,(1)反社会的勢力による不当要求の拒絶だけでなく,一切の関係遮断を目標としていること,(2)反社会的勢力との関係遮断を,内部統制システムの一部に位置付けるべきことを明確にしていることにあると考えられています。

指針や指針解説の内容については,

http://www.moj.go.jp/KEIJI/keiji42-01.html
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/pc/070427bessi2.pdf

等をご覧ください。

指針および指針解説は,法的拘束力を有するわけではないものの,取締役の善管注意義務の判断に際して参考にされることがあるとされており,反社会的勢力との関係遮断の体制が不十分であって,それが原因で会社に損害が生じた場合には,取締役が会社に対して損害賠償責任を負いうることになります。実際に,各企業において,指針および指針解説に基づく社内体制整備が徐々に進められつつあるところです。

指針および指針解説によれば,反社会的勢力との関係遮断を企業の内部統制システムに位置付けるにあたり,以下のような具体的な手順が想定されています。

(1)取締役会で基本方針を決議し,社内トップが宣言する。
(2)反社会的勢力対応部署を整備する。
(3)反社会的勢力対応部署が主導して,反社会的勢力に関するリスクをヒアリング等によって洗い出す。
(4)反社会的勢力に関連する社内規程,反社会的勢力対応マニュアルを整備する。
(5)取引相手が反社会的勢力であるかないかを判断するための審査体制(取引開始前の審査,継続審査)を構築する。
(6)審査を適切に行うための情報収集体制および反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築する。
(7)契約書や取引約款に反社会的勢力排除条項を導入する。
(8)反社会的勢力のリスクに関する研修・教育を実施する。
(9)警察,暴力追放運動推進センター,弁護士等の外部専門機関との連携を強化する。
(10)反社会的勢力との癒着防止等のため,適切な人事配置転換を実施する。
(11)整備した体制が機能しているかについてモニタリングを行う。

当事務所においても,反社会的勢力対応に関する社内規程やマニュアルの策定,契約書への反社会的勢力排除条項の導入などについてのご相談をいただくことが多くなってきています。企業の業種によっても要求される内容はさまざまですが,お力になれることもあるかと存じますので,全体的な体制整備の手法等も含めて,ご相談いただければ幸いです。

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