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東町トピックス

電子契約

H23.7.29 林 智子
  • 一定の契約書には印紙を貼る必要があることはご存知のとおりですが,この印紙税を節約するべく,「電子契約」により契約を締結するという方法があります。今回は,「電子契約」について,ご説明いたします。

  • そもそも,「電子契約」とは,従来,紙の契約書に押印(又はサイン)するという形をとってきた契約行為を電子化することをいいます。電子契約では,紙の契約書の代わりに「電子文書」を,印鑑等の代わりに「電子署名」を用います。

    「電子契約」により契約をすれば,契約書をデータで保存することができますので,紙の契約書に比べて保管スペースが少なくすみますし,より長期に保管することができます。また,データで保管しているため,検索性が飛躍的に向上します。さらに,コスト面でいえば,印紙税が節約でき(書面を作成していない以上,印紙は不要となります。),紙の契約書の場合に必要となっていた郵送費や保管費等を削減することが可能となります。

  • このように利便性の高い「電子契約」ですが,問題は,「電子契約」に対する安心・安全をどのように確保するかという点にあります。

    例えば,Aと「電子契約」により契約を締結しようとするBは,電子メール等で送信された「電子文書」につき,内容が改ざんされていないか,本当にAが作成したのか(CがAとなりすましているのではないか)等について不安に思うことが想定されます。

    このような不安を解消する一つとして,「電子署名」というシステムがあります。「電子署名」は,「電子文書」に付与する電子的な徴証であり,紙の契約書における押印やサインに相当する役割を担うものです。「電子文書」に直接押印等をすることはできませんので,紙の契約書の場合における押印等と同様の役割を果たすものとして,「電子署名」というシステムを用い,契約者の本人確認をし,「電子文書」の改ざんを防止します。

  • ところで,裁判において,契約の存否等が争いになった場合,契約の存在を主張する者は,契約書を証拠に,その存在を主張していくことになりますが,民事訴訟法は,まず,当該契約書が本当に作成名義人(作成者として契約書に記載されている者)によって作成されたものであるか(真正な成立)を証明しなければならないと規定しています(228条1項)。もっとも,当該契約書が本当に作成名義人によって作成されたかについては,その作成名義人が認めている場合は別として,困難である場合が少なくありません。そこで,民事訴訟法228条4項は,「私文書は,本人又は代理人の署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する。」と規定し,契約書の真正な成立の証明を助けています。

    上記規定は,「署名又は押印」に関するもの,すなわち,紙の契約書を念頭に置いた規定ですので,「電子署名」の場合にはこの規定を用いることができません。そこで,電子署名および特定認定業務に関する法律(通称:電子署名法)が制定され,第3条において,電子署名が行われている場合には,真正に成立したものと推定する旨規定しています。

    このように,「電子文書」は,他の法律(書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律[通称:IT書面一括法])の整備も相まって,法的有効性が認められています。

  • 紙の契約書の山にうんざりされている方は,「電子契約」の導入を検討されてはいかがでしょうか。

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