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債務者が死亡した場合,債務の弁済を誰に請求するか?

H24.2.29 林 智子

個人の債務者が死亡した場合,債権者は,当該債務の弁済について,誰に請求すればよいのでしょうか?もちろん,連帯保証人がいる場合には連帯保証人に請求することができますが,この問いに対する答えは,ご想像通り,『相続人』です。相続に関しては,基本的な知識を持たれている方がほとんどですが,顧問先の皆様からのご相談には,この相続に関するものが意外と多くあります。「債務者が亡くなった。債務の弁済を誰に請求すればよいか?」「養子には相続権があるのか?」等々。今回は,相続に関する知識のうち,相続人の種類・範囲について,改めてご紹介します。

  • 相続人の種類・範囲

    民法は,相続人となることのできる者について,以下のように,画一的に規定しています。なお,相続人ではない者に相続人と同様の地位を与えたければ,その者に「包括遺贈」をすることになります。

    【 配偶者 】
    被相続人の配偶者は,常に相続人となります。この「配偶者」とは,法律上の配偶者をいい,内縁の妻または夫はこれに当たりません。
    配偶者以外の血族相続人は,次の順序に従って相続人となります。

    【  子  】
    まず,第1順位の相続人は,被相続人の子(またはその代襲相続人である直系卑属)です。「子」は,実子であるか養子であるかを問いません。養子であっても養親の相続人となります。また,養子が普通養子である場合(実親との親族関係が終了していない場合),当該養子は,養親を相続するほか,実親の相続人にもなります。

    【 直系尊属 】
    第2順位の相続人は,被相続人の直系尊属です。第2順位ですので,第1順位の相続人がいないときに,相続人となります。親等の近い直系尊属が相続資格を有し,それ以外の者は相続資格を取得しません。例えば,独身の被相続人Aが死亡し,Aには父母B・Cと祖父母D・Eがいる場合には,親等の近いB・Cが相続資格を有し,D・Eは相続資格を取得しません。

    【 兄弟姉妹 】
    第3順位の相続人は,被相続人の兄弟姉妹です。父母が同じ(全血の兄弟姉妹)か,一方だけ同じ(半血の兄弟姉妹)かを問いません(但し,相続人として全血の兄弟姉妹と半血の兄弟姉妹がいる場合,両者の法定相続分には違いがあります。)。

  • 代襲相続

    例えば,被相続人である父Aが死亡した当時,相続人となる子Bがすでに死亡していたり,Bに一定の事由(欠格,廃除)がある場合には,Aの孫(直系卑属)であるCは,Bに代わって相続します。これを代襲相続といいます。Bが相続放棄をした場合は,Cは代襲相続をしません。代襲相続ができるのは,被代襲者が被相続人の子または兄弟姉妹である場合に限られます。
    上記の例で,A死亡時,すでに,BだけでなくCも死亡している場合,Aの曾孫Dが代襲相続をします(これを再代襲といいます。)。もっとも,被代襲者が,被相続人の兄弟姉妹である場合には,再代襲までは認められていません。

  • 相続人の資格が重複する場合

    場合によっては,相続人の資格が重複することがあります。
    例えば,被相続人Aの孫であるCが,Aの養子になり,Aが死亡する前に,Aの子であり,Cの親でもあるBが死亡している場合,Cは,Aの養子としての相続権と,孫としての代襲相続権を有することになりますが,この場合,Cは,双方の相続分を取得することになります。

以上のように,個人の債務者が死亡した場合,債権者は,当該債務者の相続人に債務の弁済を請求することができますが,その際には,誰が相続人かということを確定することが大切になります。

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