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第22回 職場における心の健康

H22.3.1 上谷 佳宏

ある報告によると,日本の労働者約6,000万人のうち,約1,000万人は心理不安定者で,約100万人はうつ病等の心の病に罹っているそうです。
そして,このような心の病を引き起こす大きな原因としては,職業生活に関する不安,悩み,ストレス等の心理的負荷がクローズアップされています。そのうち,職場に関係する原因としては,セクハラやパワハラといった職場における人間関係や長時間労働がありますが,最悪の場合には,これらを原因として自殺に至ることがあります。年間3万人を超える最近の自殺者総数のうち9,000人程度は労働者の自殺であるということです。

近時は,これらの心の病や自殺に業務起因性があるとして労災認定が行われたり,会社に労働契約上の安全配慮義務違反や民法上の不法行為に該当するとして損害賠償義務が認められたりする事案が増加しています。
これらの事態が生じた場合には,被害者に重大な悪影響が生じるのはもちろんですが,会社にとっても,大切な従業員を失うだけでなく,職場の秩序が乱れ業務の効率的運用に支障が出るほか,損害賠償等の法的責任を負うとともに,その社会的評価に大きなダメージを受けることになります。また,加害者となった役員や従業員も,損害賠償義務を負担するだけではなく,懲戒処分を受けたり刑事責任を負わされたりすることもあります。

したがって,会社は,これらの事態が生じないようにするために,セクハラやパワハラあるいは長時間労働といった心の病を引き起こす原因が生じないような環境づくりに努めなくてはなりません。また,従業員も,上記のことを理解したうえ良好な職場環境づくりに協力することが必要となります。

良好な職場環境づくりの基本となるのは,職場の個々の構成員がお互いの人格を尊重するという姿勢を持つことです。そして,経営者・従業員全員が,セクハラやパワハラあるいは長時間労働といった心の病を引き起こす個々の原因について,その概念,問題点,法的規制,防止方法等に関する最新の基本的知識を共有するということも重要となります。

ところで,経営者・従業員全員がお互いの人格を尊重するという姿勢を持ち続け,心の病を引き起こす個々の原因についての最新の基本的知識を持ち続けるためには,会社が主導して継続的な研修を行うことが必要であると考えます。近時は,良好な職場環境づくりのためのガイドライン等が厚生労働省等により提供されており(例えば,http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html),大いに参考にすることができますが,当事務所においても,このような研修をより効果的に行うための教材作りや講師の派遣をしておりますので,ご遠慮なくご相談くださればと存じます。

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