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第27回 暴力団排除条項

H22.4.27 虎頭 信宏

近時,銀行等の各種預金規程に,いわゆる「暴力団排除条項」を導入する例が多く見られます(「暴力団排除条項」をキーワードで検索してみるとよくわかります。)。 
また,当事務所がリーガルチェックの依頼を受ける一般企業間の取引基本契約書等においても,(1)暴力団等の反社会的勢力ではないこと(いわゆる「属性要件」),(2)暴力的な要求行為等を行わないこと(いわゆる「行為要件」)を表明保証させ,これに違反した場合に契約解除や損害賠償等を認めることを内容とする暴力団排除条項を導入しているものが見られるようになってきています。

このような流れは,暴力団等の反社会的勢力の不透明化,資金獲得活動の巧妙化等を背景に,平成19年6月,政府が,「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(http://www.moj.go.jp/KEIJI/keiji42-01.html)を制定し,同指針の中で,企業が反社会的勢力との関係を一切遮断するための有効な具体策の一つとして,契約書等に暴力団排除条項を導入することを挙げていることに端を発しています(当事務所の顧問先の皆様には,「東町トピックス」や「東町セミナー」で詳細にご報告等したとおりです。)。

このように,暴力団排除条項を導入する動きが進む一方で,企業の中には,仮にこのような条項を導入したとしても,(1)どのような場合に「反社会的勢力」に該当するか明確ではない,(2)訴訟において「反社会的勢力」であることを立証することが困難な場合が多い,(3)取引においては何ら問題がない(契約上の義務をきちんと履行している)にもかかわらず「反社会的勢力」であること(属性要件)だけを理由に解除を認める判例法理は確立していない等の理由により,暴力団排除条項の実効性を疑問視し,これを導入することに消極的な意見もあるようです(そのほかにも,新たに契約書等を締結し直す事務コストや,取引相手との関係上,なかなか導入に踏み切れない側面もあるかと思います。)。
しかし,暴力団排除条項を導入することにより,(1)反社会的勢力が,将来的に解除されることを避けるため,当該条項の適用を受ける契約の締結自体を避けるという効果があること,また,(2)反社会的勢力であることが判明した場合に,相手方との取引解消の根拠や,その交渉のための材料となることに異論はなく,暴力団排除条項の導入が反社会的勢力との関係遮断のために有用であることは間違いないと思います。

企業のコンプライアンスが重要視されるなか,反社会的勢力との関係遮断の流れは,加速することはあっても後退することはないと考えます。
暴力団排除条項の導入等,反社会的勢力との関係遮断への取組を進めることを,企業の負担と捉えるのではなく,企業が成長していくための必要条件として捉える時期が来ているのではないでしょうか。

【追記】
折よく(?),日本を代表する一部上場企業の元社長の辞任問題と関連して,企業と反社会的勢力との関係に関する問題が,報道等でクローズアップされています。今後の動向によっては,ひとつのリーディングケースになるかもしれません。

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