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第59回 地震保険について

H23.4.21 福元 隆久
  • 地震保険は,地震もしくは噴火またはこれらによる津波を直接または間接の原因とする火災,損壊,埋没または流失による損害を填補する損害保険です。地震保険は,火災保険とセットで契約する必要があり,地震保険だけを契約することはできません。

    また,地震による火災の場合,火災保険だけでは補償されません。同様に,自動車保険の車両保険だけでは補償されず,地震・噴火・津波危険補償特約を付保していなければ車両損害は補償されません。

  • 地震保険の対象は「居住の用に供する建物」と「生活用動産」です。

    居住用建物には,専用住宅だけでなく併用住宅も含まれます。また,建物には門,塀もしくは垣または物置,車庫その他の附属建物が含まれます。

    生活用動産は,いわゆる家財のことで,生活の用に供する家具,什器,衣服その他の生活に通常必要な動産ですが,次の物は生活用動産には含まれません。

    (1) 通貨,有価証券,預金証書または貯金証書,印紙,切手その他これらに類する物

    (2) 自動車(自動三輪車および自動二輪車を含み,総排気量が125cc以下の原動機付自転車を除く)

    (3) 貴金属,宝玉および宝石ならびに書画,骨董,彫刻物その他の美術品で,1個または1組の価額が30万円を超える物

    (4) 稿本,設計書,図案,証書,帳簿その他これらに類する物

    (5) 商品,営業用什器・備品その他これらに類する物

  • 地震保険では,対象となる建物または動産の損害の程度を「全損」「半損」「一部損」に区分し,これによって次の基準により保険金が支払われます。

    (1) 建物

    全 損 : 建物の地震保険金額の全額(但し,保険価額(時価)を限度とする)
    半 損 : 建物の地震保険金額の100分の50(但し,保険価額(時価)の50%を限度とする)
    一部損 : 建物の地震保険金額の100分の5(但し,保険価額(時価)の5%を限度とする)

    (2) 生活用動産

    全 損 : 家財の地震保険金額の全額(但し,保険価額(時価)を限度とする)
    半 損 : 家財の地震保険金額の100分の50(但し,保険価額(時価)の50%を限度とする)
    一部損 : 家財の地震保険金額の100分の5(但し,保険価額(時価)の5%を限度とする)

  • 地震保険の保険金額は,保険契約において保険会社と合意した金額(全損の場合に支払われる金額)ですが,主契約である建物または家財の火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で,かつ,建物については5,000万円,動産については1,000万円が限度とされています。

  • また,「全損」「半損」「一部損」の区分については,地震保険に関する法律施行令および地震保険標準保険約款に次の通り基準が定められています。

    (1) 建物

    全 損:
    居住用建物の主要構造物の損害額が当該居住用建物の時価の100分の50以上である損害または居住用建物の焼失もしくは流失した部分の床面積の当該居住用建物の延床面積に対する割合が100分の70以上である損害。地震等を直接または間接の原因とする地滑りその他の災害による急迫した危険が生じたため居住用建物が居住不能のものとなったときは全損とみなされます。
    半 損:
    居住用建物の主要構造物の損害額が当該居住用建物の時価の100分の20以上100分の50未満である損害または居住用建物の焼失もしくは流失した部分の床面積の当該居住用建物の延床面積に対する割合が100分の20以上100分の70未満である損害。
    一部損:
    居住用建物の主要構造物の損害額が当該居住用建物の時価の100分の3以上100分の20未満である損害。

    上記全損,半損および一部損以外で,地震等を直接または間接の原因とする洪水等による水災が発生したため居住用建物が床上浸水等した場合には一部損とみなされます。

    (2) 生活用動産

    全 損:
    生活用動産の損害額が当該生活用動産の時価の100分の80以上である損害。
    半 損:
    生活用動産の損害額が当該生活用動産の時価の100分の30以上100分の80未満である損害。
    一部損:
    生活用動産の損害額が当該生活用動産の時価の100分の10以上100分の30未満である損害。

    損害の認定は,居住用建物の場合には建物ごとに,生活用動産の場合にはこれを収容する建物ごとに行われます。なお,居住用建物の主要構造部の損害額には,地震等による損害が生じた居住用建物の原状回復のため地盤等の復旧に直接必要とされる最小限の費用が含まれます。

  • 地震保険による保険金の支払を受けようとする場合には,地震保険を締結した損害保険会社に連絡し損害認定を受ける必要があります。

    この度の東日本大震災については,各損害保険会社が相談窓口を設置しているほか,社団法人日本損害保険協会にて「そんがいほけん相談室」「地震保険契約会社商会センター」が設置されています。

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