第26回 海事法研究会(神戸)について
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去る4月3日,オーストラリア・グレートバリアリーフの近海で,石炭運搬船が座礁する事故が発生しました。現在,この船舶に燃料として積載された重油の大量流出が懸念されています。
報道によりますと,まだ,流出した重油はごくわずかであり,4月8日か9日から,座礁により穴の開いた燃料タンクから無傷のタンクへ,残存した重油を移す作業が行われるようです。
今のところ,問題のタンクの中の重油は,下に入った海水の上で浮かんでいるようですが,大量に流出してしまいますと,漁業者や沿岸住民のみならず,世界有数の美しいサンゴ礁にもはかりしれない被害が生ずることとなるため,予断を許さない状況が続いています。あの美しいサンゴ礁に被害が及ばないよう,どうにかして,大量流出に至る前に重油の移動作業が完了してほしいと願っているところです(本コラムがアップロードされるころには,事態が何らかの方向で進展していることと思います。)。
さて,神戸では,社団法人日本海運集会所が主催する「海事法研究会(神戸)」と称する研究会が,数十年前から開催されており,すでに,開催回数は353回を数えています。
研究会では,文字通り,海事法に関するテーマ(最近では,アデン湾等で頻発している海賊に関する問題や,海運市況とも関連した,定期傭船契約における返船時期に関する問題,いわゆるロッテルダム・ルールズをめぐる動き等)について,ゲストスピーカーをお招きして議論・研究をしています。
この研究会には,船会社等の海運関係会社,保険会社・組織,研究者,弁護士等の多彩なメンバーが所属しており,年齢層等も多岐にわたっておりますので,普段接する機会の少ない業種の方々との間で,実務感覚や実務上の知識等の情報交換や交流をすることができる,関西では数少ない貴重な機会となっています。
この4月から,私が研究会の幹事をさせていただくこととなりましたので,本コラムにて紹介をさせていただきます。ざっくばらんな雰囲気で開催しておりますので,ご関心がおありの方は,遠慮なくお問い合わせいただければと思います。