第79回 新年のご挨拶
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新年明けましておめでとうございます。
平素は,当事務所に格別のご高配を賜り,厚くお礼申しあげます。
さて,当事務所は,昨年は,法人化後2年目の年として,年初に渡邉一弘・平良夏紀・村尾卓哉の3弁護士を迎え入れ,神戸事務所16名,東京事務所4名,今治事務所2名の体制で,より広範囲な地域においてかつ機動的に法的サービスを提供することに努めてまいりました。また,6年前に当事務所に参画して,当事務所の国際化に尽力してくださった丸田隆弁護士は,昨年末をもって独立いたしました。同弁護士には,引き続き当事務所の国際業務についてご協力をいただく所存であります。
ところで,昨年は,3月11日の東日本大震災の発生により,東京事務所を有する当事務所の執務にも大きな影響がありました。しかし,1995年に阪神大震災に罹災した経験を有する法律事務所として,微力ながら,その経験と当事務所の知見を東日本大震災の罹災者の皆様に提供するべく,震災直後から,ホームページにおいて,震災関連のコラムを掲載するとともに英語圏の方々に対するメールによる法律相談の受付を開始しました。また,若手の弁護士が東北地方に法律相談に赴き,私を含め、弊所の弁護士が震災関連のテーマでの執筆や講演などの活動を行いました。名倉大貴弁護士,松宮慎弁護士は兵庫県弁護士会の災害復興等支援委員会の副委員長を務めており,弁護士会を通じて各種の立法提言活動等に関わりました。当事務所としましては,これからの復興過程においても,何らかの支援を継続していく所存であります。
このような状況にはありましたが,当事務所は,従前に引き続き所属弁護士の能力向上を目指しての研修に重きを置き,昨年も,東京等において開催される多方面の分野にわたる外部研修についても積極的に参加するとともに,受講弁護士による他の弁護士に対するフィードバック講義を義務づけることにより,弁護士間における知識の共有化を図ってきました。また,事務所内においても,内部統制システムに関する勉強会を継続し,海外の専門家を招いて海事法の勉強会を開催するとともに,月1回の早朝勉強会において,各弁護士の担当案件の処理過程で得た知見等の紹介や疑問点の解決方法を協議し,週1回のケースミーティングにおいて,新判例等の勉強会を行なってきました。そして,外部講師による週1回の英語・中国語のレッスンや丸田隆弁護士と内部外国人講師による英語レッスンも継続いたしました。
そして,急速に進展する国際化に,より適切に対応できるようにするため,私・松宮慎の各弁護士が4月に京都で開催されたIPBA(INTER-PACIFIC BAR ASSOCIATION)の会議に参加しました。そして,虎頭信宏弁護士が5月にニューヨークの法律事務所で短期研修をし,松宮慎弁護士が米国の法律事務所が主催するボストンでの知財研修に参加するとともに,手塚祥平弁護士が9月からロンドン大学に留学しています。また,私自身も,昨年に引き続き5月のニューヨークの法律事務所への訪問を皮切りに,7月にロンドンの法律事務所を,10月にホノルルの法律事務所を,11月に福元隆久弁護士と上海の法律事務所をそれぞれ訪問して,これらの事務所との交流を深めてきました。また,一昨年中国の律師試験(全国統一司法試験)に合格した張麗霞が,昨年,上海の法律事務所において弁護士資格を取得するための研修を受けました。
なお,当事務所が弁護士法人キャストとともに資金援助をしてきた上海交通大学法学院の「キャスト−東町法務連続講座」は,財団法人日本経済団体連合会が,同大学において,「日本経団連 企業法務高級講座」を開講することとなったことに伴い,昨年4月の第25回の最終講義をもって終了しました。
クライアントの皆様への情報発信としては,ホームページにおいて,従前どおり,概ね10日に1回の割合で,コラムやトピックスを更新してきました。そして,「品質管理部」による,事件処理に関するアンケートと,ご相談やご依頼案件に関するフォローアップ等も引き続き実施してきました。また,「東町法律事務所法律実践セミナー」は,第75回を迎えることができました。さらに,年2回,廣野ゴルフ倶楽部と東広野ゴルフ倶楽部とで開催してきた「東町法律事務所ゴルフコンペ」は,第32回を迎えることができました。
さらに,昨年は,当事務所が主宰または共催して,海事セミナー等を開催するとともに,外部の弁護士や実務家の方々と英国海事法や米国特許法の研究会を定期的に開催してきました。また,IPBA,日本CSR普及協会,社団法人日本海運集会所等における講演やパネラーを積極的に担当しました。複数の弁護士が,関西学院大学,兵庫県立大学,神戸大学の非常勤講師やチューターを務めるなど,大学院や大学での教育活動も積極的に行ってきました。
地球規模で大規模な自然災害が多発し,世界中が政治的にも経済的にも不安定な状況にありますが,他方で,新たな時代への大きなうねりのようなものを感じ取ることもできます。このような一種の歴史的転換点にあって,当事務所は,新たな時代における価値観を正しく理解し,法律事務所としての役割を全うできるよう,本年は,法人化後3年目に向けて,その理念を再確認し,引き続き,高度化・多様化する法的ニーズに適切かつ迅速に対応しうる総合法律事務所として,
(1)単なる弁護士の集合体ではなく組織として機能する法律事務所
(2)プロフェッションとして高品質の法的プロダクトをつくることのできる法律事務所
(3)クライアントとのコミュニケーションを大切にし弁護士の顔が見える法律事務所
であり続けることをめざします。
末尾ではありますが,皆様の本年の益々のご発展とご多幸を祈念して,年頭のご挨拶とさせていただきます。
弁護士法人東町法律事務所
代表社員弁護士 上谷 佳宏