5分で完成! ~実録・私の遺言書作成~
執筆者
某カップラーメンの話ではございません。
数年前からぼちぼち作ろうと思いつつ、ずるずる先延ばしにしてきた遺言を、この度、ついに作成いたしましたので、その過程等をちらっとご紹介させて頂きます。
遺言作成にあたっては、どのような内容の遺言とするかを決めることが最重要ですが、あわせて、いずれの方法(自筆証書、公正証書、秘密証書)で作成するかを決めるのも大事であり悩むところです。
私の場合は、年齢(50歳)ほか諸事情より今後作り直す可能性もありえること等から、自筆証書遺言で作成することにしました。自筆証書遺言の用紙はどのような紙でも大丈夫ですので、手元にあったA4の無地用紙と黒ボールペンを使い、姿勢を正して静かに書き始めます。
考えていた遺言内容はいたってシンプルなものでしたので、A4用紙1枚にすべて書き終え、日付記入・署名・押印するまで、約5分しかかかりませんでした。先延ばしにしてきたものの、あっけなく出来上がったなぁというのが素朴な感想です。
さて、この1枚の書面だけでも遺言としては法的に有効ですが、実際に私が死んで相続が始まった場合、遺産として何がどこにあるかわからないと相続人は私の持ち物や家中を捜し回らねばならなくなります。そこで、参考資料として、現時点での簡単な財産メモを作成して遺言と一緒に置いておくことにしました(こちらはパソコンで作成しています。)。
一般に、遺言者がキャッシュカード・通帳・証券その他関係資料をわかりやすいところに保管している場合は、相続人も遺産を把握しやすいでしょう。
ただ、すべてWEB上で完結し、郵便物もほとんど届くことのないネット銀行・ネット証券等については、相続人が把握できず、そのまま埋もれてしまう危険があるため、注意が必要です。相続人が遺言者の死後にPCやスマホをチェックできれば見つけることはできるかもしれませんが(ただ、遺言者サイドからすると、死後にPCやスマホをくまなく見られると思うと、ちょっと、いえ、かなりいやだなぁと思いますが・・)、パスワードがわからずPCやスマホをあけることができない場合もあるでしょう。遺言者としては、生前から相続人に財産関係についてある程度伝えておくか、財産リストを作成して相続人の手に渡るようにしておく等の配慮が大切になるだろうと思います。
また、相続人を困らせることのないよう、マイナスの財産(債務)についてもプラス財産同様に生前から伝えておく又はリスト化しておくとよいでしょう。借入・ローンの類は一切ない方でも、会費・利用料・定額課金等の毎月(又は毎年)支払が発生するものについては死亡後速やかに連絡しないといつまでも支払義務が発生し続ける恐れがあります。銀行口座からの引落しになっているものはまだ見つけやすいですが、カード払いやネット銀行口座からの引落しになっているものはかなり見つけにくい場合がありえます。
さて、私は書き上げた1枚ものの遺言書と参考資料としての財産メモを無地の封筒に入れて封をし、封筒の表面に「遺言」と名前を書いて完成させました。自筆証書遺言は死後すぐに見つけてもらえないと意味がありませんので、保管場所とそれを伝えておく人もしっかり考えることが大事です。なお、令和2年7月10日から、自筆証書遺言を法務局で保管する制度も始まっておりますので、ご利用を検討されてもよいかもしれません。
自身の遺言作成を考えるということは、財産(プラス・マイナス)の整理や、今後の生活設計、この先の人生の過ごし方、死後のこと等、様々なことをじっくり考える良い機会になるものと思います。まだ遺言を作成されていない方は一度お考えになってみてはいかがでしょうか。