2022年株主総会のチェックポイント②(新型コロナ問題を踏まえたチェックポイント)
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1 はじめに
前回のコラムでは、新型コロナ問題による株主総会の変化などについてご紹介しました。
今回のコラムでは、これを踏まえ、これから開催される2022年株主総会のチェックポイントをご紹介いたします(下線部が新型コロナ問題や2022年特有の事項に関する事項です)。
2 2022年株主総会のチェックポイント
★招集通知等
□ 来場自粛要請、事前の議決権行使の要請、座席数が少ないことやスタッフのマスク着用等の当日対応の案内など、新型コロナに対応するために招集通知の内容を工夫したか
□ (プライム市場上場予定会社において)機関投資家向けの議決権電子行使プラットフォームの利用、株主総会資料の英語での開示を実施したか(実施しない場合にはエクスプレインの内容について検討したか)
★会場設営
□ 株主間の座席間隔や役員席と株主席の間隔の確保、新型コロナ感染の兆候のある来場者用のスペースの確保など、新型コロナ感染拡大防止のための工夫をしたか
□ 来場者配布用のマスク、消毒用アルコール、非接触型体温計、アクリル板、スタッフ用手袋など、新型コロナ感染拡大防止のための準備を行ったか
□ 出席株主数を想定した座席数を設置したか、想定外の出席者数に対する対応(予備の椅子の準備、別会場の設置)を行ったか
★総会進行方法の確認
□ 報告事項の報告時間、決議事項の説明時間、監査報告の時間(議長による報告、割愛を含む)など、総会の短時間化を企図した総会進行方法を実施したか
□ 議長や質問に対する回答役員のマスクの着用の有無について検討したか
★受付事務
□ 懇切丁寧な受付対応ができていたか
□ 出席株主の本人確認に問題はなかったか
□ 非株主の入場を認めてしまったことはなかったか(例:親族の代理として出席)
□ 付き添い・通訳等の入場に問題はなかったか
□ 受付・入場時のトラブルに適切に対応できていたか
□ 来場株主に対する手洗い・アルコール消毒・マスク着用の要請、検温等による感染兆候の確認、感染兆候者の入場謝絶など、コロナ対応のための対応はできていたか
★議事運営の基本的事項
□ 議長選任の説明
□ 開会宣言・閉会宣言
□ 定足数・議決権数の確認
□ マイクその他音響機器の不具合等はなかったか
□ 携帯電話オフのアナウンスはきちんとなされていたか
□ 役員の入場時・着席時・退場時の一礼はきちんとなされていたか
□ 入場者・中途退場者に対する案内誘導に問題はなかったか
□ 立ち見の株主はいなかったか(コロナ感染防止のため開放している入口付近がいいという場合などを除き、着席していただくよう案内誘導したか)
★議長の発言・回答
□ スピード(早口になっていなかったか)
□ 声量・明瞭さ(聞き取り易さ)・メリハリ・単語の区切り方)
□ 発言全体の印象(落ち着き・安心感)
★担当取締役・監査役(監査等委員を含む。以下同様)の発言
□ スピード(早口になっていなかったか)
□ 声量・明瞭さ(聞き取り易さ)・メリハリ・単語の区切り方
□ 発言全体の印象(落ち着き・安心感)
□ 目線は前(質問者の方向)を向いていたか
★議長の質問受付
□ 事前ルール設定の有無(エリアの区切り、一人〇問など)
□ 質問株主の指名が会場前方に偏っていなかったか
□ 声の大きいorジェスチャーの大きい発言者を優先していなかったか
□ 質問者の指名方法(例:前列の男性の方、向かって右列5列目の方)に取り違え等はなかったか
□ 第2会場対策(第2会場の質問希望者に適切に対応できていたか)
□ コロナ感染拡大防止のため、ハンドマイクではなくスタンドマイクにする、発言後にマイクを消毒するなどの措置を検討したか
□ マイク手渡しのタイミング(遅くなかったか)
□ 質問者には起立を求める(原則)等の対応ができていたか
□ 質問者氏名・受付番号の確認(復唱)はできていたか
□ 質問と意見表明・要望との仕分けはできていたか
□ 無理矢理、意見表明として仕分けしたような印象を与えなかったか
□ 「貴重なご意見ありがとうございました」等の発言が株主に違和感を与えなかったか
□ 趣旨が分かりにくい質問に対し、質問を要約するなどの工夫はできていたか
□ 回答拒絶義務のある質問を受け付けていなかったか(インサイダー情報など)
□ 回答が拒絶できる質問を受け付けていなかったか(次期の配当予想など)
□ 回答を拒絶した場合に拒絶理由をきちんと説明したか
□ (個別上呈方式の場合)決議事項(報告事項)に関する質問を報告事項(決議事項)に関する質問時に受け付けてしまっていなかったか
□ (一括上程方式の場合)事前の説明を十分に行えたか
□ 仮定の質問を安易に受け付けてしまうようなことはなかったか
□ 事前のルール設定に従っていたか(例:一人2問まで、質問1分程度)
□ 事前のルールを無視した株主(例:長時間質問)にきちんと対応できていたか
□ ヤジ・不規則発言等に対してきちんと対応できていたか(発言禁止・退場命令等)
★質問に対する回答の方法
□ 回答者(議長自身or担当取締役)の指名は明確・的確だったか
□ 回答者を指定せずにいきなり議長が回答を始めるようなことはなかったか
□ 議長回答と担当取締役回答とのバランス(前者が多すぎることはなかったか)
□ 複数の質問があった場合に回答漏れはなかったか
□ 回答が自己完結していたか(途中で終わってしまっていなかったか)
□ 「以上回答申し上げました」との締めの言葉は徹底されていたか
□ 回答者の緊張や焦りの印象を与えるような態度はなかったか
★質問に対する回答の内容
□ 質問と回答内容とが食い違っていなかったか(整合性)
□ 真正面からの回答を避けるような(論点をずらした)印象を与えていなかったか
□ 想定問答集で準備した回答の棒読みになっていなかったか
□ 回答が不愛想な(ぶっきらぼうな)印象を与えていなかったか
□ 担当取締役の回答(例:説明不足)に対する議長によるフォローはあったか
□ 説明義務違反と疑われるような回答はなかったか
□ 回答後、質問者における納得の有無について確認ができていたか(例:「以上の回答でよろしいでしょうか」等)
★事務局との連携
□ 事務局から議長等に対して議事進行についての連絡は的確になされていたか
□ 議長・担当取締役から事務局に対する手持ち資料の確認等に問題はなかったか
□ 事務局において資料調査に手間取るなどの問題はなかったか
□ 議長として判断に迷う場面で事務局と協議する等の対応はできていたか
□ 議長・回答担当者に対する連絡・資料の受渡等はスムーズに行われていたか
□ 議長・回答担当者の言い間違い等に対し事務局側で的確に訂正がなされていたか
□ 事務局内部での役割分担(発言確認・進行確認・回答内容確認・時間管理等)
★回答者以外の取締役・監査役の姿勢・態度
□ 事業報告時の姿勢・態度に問題(例:目を閉じる)はなかったか
□ 質問・回答時の姿勢・態度に問題(例:資料を急いでめくる)はなかったか
★質問打ち切りのタイミング
□ 打切りの事前予告の有無(例:あと〇名、あと○問)
□ 議場の雰囲気、経過時間等からして、打ち切りのタイミングは妥当だったか
□ 質問打ち切りにあたり、議場で挙手している株主を見逃すようなことはなかったか
□ 打ち切り後に質問を受け付けてしまうようなことはなかったか
★決議方法
□ 動議と意見表明との仕分けはきちんとなされていたか
□ 動議に対する対応は的確だったか(会社提案先議等)
□ 会社提案に対する賛否確認方法は的確だったか(起立・拍手など)
□ 提案後、ひと呼吸置いてから賛否確認ができていたか
□ 「原案通り可決されました」等、決議が成立したことの確認が適切になされていたか
□ 新任(再任)取締役・監査役の紹介の時期・方法に問題はなかったか
★社員株主・協力株主の態度
□ 社員株主の出席の有無や人数、総会運営への関与の程度について検討したか
□ 「了解」「異議なし」「議事進行」等の発言が他の株主に違和感を与えていなかったか
★事前質問状の取扱い
□ 事前質問状を提出した株主の出席確認はできていたか
□ 事前質問状を提出した株主の質問に対する回答に問題はなかったか
★その他
□ 全体の所要時間は、例年or他社に比べて適当だったか
□ 出席株主数は想定どおりだったか
3 おわりに
前回のコラムでも触れましたとおり、今年度以降の株主総会の状況は不透明な点があり、総会ご担当者も大変だと思いますが、ご参考になれば幸いです。
当事務所でも、上記のチェックポイントによるチェックはもちろんのこと、総会指導全般について相応の経験を有しておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。
以上