検査役の役割 ―関西スーパー事件を通じて―
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目次
報告書①②③④⑤
(1)神戸地方裁判所決定で問題となった点
ア 最初の議案否決の決議の集計完了はいつか
イ Bさんは投票箱に投票用紙を入れるときにどのような発言をしたか
(2)大阪高等裁判所決定で問題となった点
ア 議決権を事前行使した後総会に出席した場合の議決権の扱いに関す る株主への説明
イ Bさんが投票箱に投票するときの発言
ウ BさんやCさんに働きかけがあったか
エ Bさんの言動はやむを得ないか
参考資料
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1 はじめに(本稿の趣旨・目的)
耳目を集めた株式会社関西スーパーマーケット(以下「関西スーパー」といいます。)の臨時株主総会(以下「本件総会」といいます。)の検査役を務めてから,1年半以上が経過しました。最近,再びオーケー株式会社(以下「オーケー」といいます。)が関西へ進出するということで,スーパー業界では話題になっています。本件総会開催当時は,検査役という裁判所から選任された公正中立的な立場から,マスコミの取材には一切応じず,事案について文書でコメントするのは控えておりましたが,その後日数も経過したことや当職の職務内容もほとんど公になっていることから,今後検査役の職務に就く方々の参考になればと思い,検査役として貴重な経験をしたことを,本稿でまとめることとしました。従って,本稿は,あくまで検査役の立場でどのような対応をすべきかを中心としていますので,本件の法律的争点である「本件総会において行われた,本件各株式交換契約の承認決議(本件決議)に,決議の方法の法令違反及び著しい不公正という決議の取消事由(会社法831条1項1号)があるという法令違反(会社法796条の2第1号)があり,これにより関西スーパーの株主が不利益を受けるおそれ(同柱書)があるかどうか」という裁判所で争われた法的論点の議論については,他の説明に譲ることとしほとんど触れておりませんのでご了承下さい。また,本件総会で争点となった問題に関する検査役の役割に焦点を当てて考察しているので,検査役が行った職務一般についての説明も割愛させて頂きました。簡単な時系列などは,後記にまとめていますので,参考にして下さい。
なお,本件では,当職以外に検査役補助者として虎頭信宏弁護士,名倉大貴弁護士,議決権行使書・委任状などの事前確認のため当事務所の数名の弁護士も活動してくれました。
2 検査役の職務
検査役は,あくまで裁判所から選任され,公正中立的立場で(臨時)株主総会の事実(招集の手続及び決議の方法)を調査して裁判所に報告する役割を担っています(会社法306条 ,証拠保全機能と言われることがあります。)。よく誤解されるのは,本件でも一部誤解したコメントなどがありましたが,株主総会を適正に運営するために検査役が監督するのだとか,検査役が指導する立場にあるとか,検査役が付いているから間違いは起こらないと言った指摘です。検査役は,仮に違法な手続きや決議があって,それを認識した場合であっても,それらに口を出すことなく,法的評価はせず,冷静に事実を把握して,報告書という形で裁判所へ報告するのみなのです。
通常,検査役の選任申立がなされるのは,株主総会の決議が重要な内容を含み,後日総会決議が紛争となったときに,その招集手続きや決議の方法に至る事実関係が重要となることが見込まれる場合です。本件でも,関西スーパー及びオーケー双方から検査役の選任申立がなされました。私の経験からも,このような場合は株主総会を主催する会社も過誤のないよう慎重に手続きを進めるので(副次的な是正・抑止効果と言われこともあります),検査役が選任されても後日紛争となってその報告書が重要な資料として使われることはあまりない,というのが現実ではないかと思います。しかし,本件ではそうではなかったのです。
3 本件で問題となった争点
すでに各種マスコミなどで報道されているとおりですが,簡単に説明させて頂きます。
検査役として本件総会に立ち会っていた当職らは,本件総会決議で,いわゆる関西スーパー統合の議案(株式交換契約の承認議案)が僅かの差で否決されるという集計が一旦なされ,それを事実上確認して,集計会場から株主総会会場へ戻って本件総会が再開されるのを待っていました。そうすると,しばらくしてから,当職らは,関西スーパー側の代理人弁護士より呼び出しを受け,別室に行ったところ,Bさん(関西スーパーの株主のA会社の代表取締役。A会社は全ての賛成欄に〇を付けた議決権行使書及び委任状を関西スーパーに事前に提出しており,Bさんは会社原案に賛成の議決権行使をする旨を記載した職務代行通知書を受付に提出していた。)が,簡単に言いますと,本件総会会場で間違えて白紙で投票したと当職らに説明したのでした。その趣旨は,Bさんは,事前に議決権行使書に基づきA会社が議決権を関西スーパー提案の統合案に賛成として行使しているので,本件総会に出席したもののさらに投票すると二重投票になる等と思い,白紙で投票したというのです。ルールでは,事前投票していても,本件総会当日に出席してしまうと,傍聴として参加しない限り,事前投票は効力を失い,改めて投票しなければならないのです。それを勘違いして白票(棄権)で投票したということだったのです。Bさんの説明は,緊迫した雰囲気の中で行われ,当職らにもことの重大さが伝わってきました。当職らは,その事実関係の説明を慎重にメモに取ったのでした。さらに,驚いたことにA会社の株式数は当職らが事前に把握していた僅差で否決されたその僅差(議決権個数約2300個)を僅かに上回る株式数(議決権個数2620個,株式数26万2000株)であったのです。Bさんの説明の後,関西スーパーは,Bさんが投票したA会社の議決権の扱いを,賛成票に加算するという判断をしました。これが,後に裁判所で争われる最大の論点となるのです。当時の当職らの個人的な印象としては,大勢の株主が関与する株主総会において公平性や決議の安定性を重視すべきであり(後の神戸地裁の決定と同趣旨),賛成票に加算することは問題があるのではないかと思いました。しかし,もちろん手続きや決議の方法について法的評価をしない検査役としては何らのコメントをせず,態度にも表しませんでした。結局この判断は,最高裁まで争われ,賛成票と扱うのは問題ないという結論になり,関西スーパー側の判断が正しかったことが後日確定します。
なお,Bさんに対する事情聴取は,本件総会終了後,もう一度慎重に実施することとし,十分に事実関係などの確認を行い,さらに,関西スーパー側には,別途のこの事情を報告書の形式で当職宛提出するよう依頼しました。
4 報告書提出時期の悩み
本件総会が終了し,当職らは,報告書を作成し,裁判所へ提出するという手順に入ります。事前の裁判所との打ち合わせでは,検査役の通常のスケジュールとして,本件総会後約40日を目処に提出するということで,12月初旬くらいに報告書提出ということで話しができておりました。
しかし,まず頭に浮かんだのは,当職らの報告書が裁判所へ提出されると,オーケー側がA社の議決権の取扱いは法的に問題であるとの理由で,本件総会決議取消し,本件株式交換の仮の差止めなどの法的手続きに持ち込むことは必至であろうと言うことです。加えて,12月初旬に報告書を提出した場合,その段階では,すでに本件総会決議の効力(株式交換の効力)を生じているのです(本件株式交換の効力発生日は、当初12月1日とされていました。)。このため,従前のスケジュールで報告書を提出するのでは,余計に混乱が大きくなると思いました。そうすると,効力が生じるまでに報告書をできるだけ早く提出する必要があると考えましたが,一方事実関係の報告とは言え,資料が膨大でそれを急いで作成しても相当な日数がかかります。そこで,考えたのは,争点となると思われるBさんが投票したA社の議決権の取扱いの部分の事実だけ急いで先に報告書を提出するという方法でした。その後,追ってその他の詳しい報告書を提出するということです。ただ,その方法についても,悩みました。というのは,我々の報告書を提出すればその事実関係を根拠に前記のとおり,決議取消,仮処分などの法的手続きが講じられることが予想され,これがオーケー側に有利な展開に検査役が与することにならないか,一方,裁判所との当初の約束通りの12月初旬の時期だと,本件株式交換の効力が生じ既成事実が作り上げられ,関西スーパー側に有利に展開しないか,さらに本件株式交換の効力が一旦生じてからその効力が不安定になると余計に混乱しないか,など色々な問題が脳裏をよぎったからです。公正・中立な立場である検査役はどのような対応をすべきか,かなり悩みました。検査役補助者とも議論をして,また裁判所とも協議を重ね,異例とは思いましたが,前述のとおり早期に問題となる部分だけ先に報告するとの結論に至ったのです。そこで,本件総会から1週間後という異例の早さで最初の報告書を裁判所へ提出したのです。その後,後述するようにそれぞれの時期に問題となっている争点に合わせて,合計5回の報告書を提出したのですが,これも異例であろうと思います。最終の報告書は,当初予定の12月10日となりました。そして,予想通り,当職らの報告書提出から,4日後の11月9日には,オーケー側が,神戸地裁に本件株式交換の差止の仮処分を申立てたのです。
5 報告書での記載事実
以下,当職らの報告書にどのような内容を記載して報告したか,簡単に説明致します。
(1)報告書①(令和3年11月5日付)
報告書①は,前記のとおり,白票を投じたBさんの投票を,A社の賛成票として扱うこととなった経緯を説明した報告書としました。
(2)報告書②(令和3年11月9日付)
報告書②は,報告書①において記載した,一旦否決の集計完了の時間を訂正補充したものです。すでに集計できているのに理由もなく再開時刻を延長し,その間にBさんに対し関西スーパーが何らかの働きかけをしたなどとの疑惑や批判を受けることを関西スーパー側が問題としたことから,重要な時刻となったものと思われます。
(3)報告書③(令和3年11月11日付)
報告書③では,Bさんが,集計結果の発表まで時間がかかり,僅差であるという説明もあったことから,自分が白紙で出した投票用紙の影響が気になり,受付へ自分の投票が正確に扱われたか聞きに行った状況,その後当職らが説明を受ける部屋へ入る状況を、関西スーパーから提出を受けたビデオ映像を基に報告しました。
そして,報告書③で当職らが注意を促したことは,当職らの報告書のマスコミへの公表についてです。報告書①を裁判所へ提出した直後から,テレビなどで当職の報告書①そのものの映像が流れることとなり,内容も公になることとなったのです。このような事態は当職らも予想しておらず,最終的に事件終結後には,利害関係人などからの請求により閲覧謄写されることはあっても,このタイミングでマスコミなどに公になることは如何かという問題がありました。特にビデオ映像を資料として提出する場合,そのビデオには株主総会に参加した多数の株主などが映りこんでいるのであって,このようなビデオがマスコミなどに公開されてしまうと,個人のプライバシーの問題も発生しかねません(このような問題もあることから撮影をあえてしないという検査役もいるようです)。
そこで,報告書に上記の旨を記載し、ビデオ映像を資料として提出することを差し控えることにしました。
(4)報告書④(令和3年11月15日付)
報告書④では,本件総会の時間を1時間延期して,再開時刻を午後4時とした経緯,及びBさんが,投票する際に,投票箱を持って投票表紙を集めていた係員(後にCさんと判明)に対し,A会社は事前に賛成投票しているので,再度投票すると二重投票になるので,白紙で投票してもいいか,と尋ねたと言っていますが,それを裏付ける事実がビデオに映っていないかを確認して報告するものでした。
(5)報告書⑤(令和3年12月10日付)
報告書⑤は,本件総会の招集手続き及び決議方法の調査を全て記載した最終報告書となりました(本文34頁,別紙1~3,資料1~84)。当初は,この報告書⑤のみを1回裁判所へ提出する予定でしたが,前述のとおり,結局合計5回報告書を提出しました。
以上のように,報告書①が提出された直後に,仮処分申立がなされ裁判所で争われることとなったことから,必要に応じ適宜報告書で訂正補充して,裁判所(もちろん仮処分係属裁判所ではなく検査役選任裁判所)へ提出し,まさに紛争の前提となる事実関係を極力正確に再現して明らかにすることに努めたのです。このことにより,仮処分手続きでは,前提となる事実についてはほぼ争いがなく,法律論を中心に主張がなされたのではないかと思い,検査役の重責を果たせてのではないかと思っています。
6 裁判所の決定で認定された事実と検査役の調査との関係
検査役として調査し,報告した事実が,裁判所の事実認定にどの程度反映されているのか,裁判所の決定を見ながら検討してみることとします。
(1)神戸地方裁判所決定で問題となった点
ア 最初の議案否決の決議の集計完了はいつか
仮処分を申し立てたオーケー側は,(ⅰ)投票手続のために閉鎖されていた議場の閉鎖が解除された後に,Bさんが白紙(棄権)の投票を変更・撤回することはできず,(ⅱ)集計作業が終了した後に議決権行使の内容を訂正する余地はないと主張しています。この(ⅱ)の前提となる事実を裏付ける根拠としては,報告書②③で報告したとおり,一旦否決で最終的に集計作業が完了した時刻とBさんが受付で投票ミスを申し出た時刻との比較が重要となりました。この点,報告書②において,重要な事実として再度検討し,当職らのメモとビデオの映像をもって,時刻を特定しました。但し,神戸地裁は,そもそも議場閉鎖の解除後は議決権行使の訂正は許されないと判断しており(上記(ⅰ)),結果的には集計完了の時刻は重要ではありませんでした。
イ Bさんは投票箱に投票用紙を入れるときにどのような発言をしたか
関西スーパー側は,Bさんが投票箱に投票用紙に入れる際の発言は,自ら議決権を行使する旨の意向を示すものであり,これによってBさんは,委任状による代理権授与を撤回せず,それに従って議決権を行使させる意思を表したものであると主張しています。それに対し,裁判所は,発言が曖昧のものであり,上記のような意思を表示したものとみることはできないと判断しているのです。まさに,どのような発言があったが重要となっていますが,ビデオには話ししている様子は確認できたものの,その会話の内容までは明らかではなく,事実調査の限界と言えるものです。
(2)大阪高等裁判所決定で問題となった点
ア 議決権を事前行使した後総会に出席した場合の議決権の扱いに関する株主への説明
大阪高裁は,受付担当者から,Bさんに対し,本件総会に出席した場合は,議決権行使書による事前の議決権行使や委任状による代理権授与が無効ないし撤回されたものとして取り扱われるなどの説明がなかった,また総会においてこのような説明はしていないと事実認定しています。本件総会での説明がなかったことはビデオ撮影と録音データ再生で確認できますが,受付で説明を受けていないという事実は,我々が直接のその説明を聞いていなければ確認できない事実であり,後は関係者の証言から事実認定するしかないのです。
イ Bさんが投票箱に投票するときの発言
大阪高裁は,Bさんは,投票箱に投票するとき,議決権行使を既に発送しているが,どうしたらいいのかなとのニュアンスのことを尋ね,「後で番号とかで突き合わせて分かるから,いいか」などと述べたと,事実認定しています。そして,これら説明について,オーケー側がその信用性を争うという主張がなされているのに対し,高裁は,以下のような理由で,Bさんの発言内容の信用性を認めているのです。
集計中のBさんへの事情聴取には録音記録はないが,本件総会後再度検査役が事情聴取したときには録音記録があるので,その趣旨が客観的に裏付けられること,また当初はBさんだけの事情聴取であったが,投票箱を持って回収していた係員Cさんについても検査役が人物を特定できないか促し,ようやく捜し当てて事情聴取に立ち合わせ,Bさんには発言しないよう注意した上でBさんとのやり取りで覚えていることを証言させた結果,Bさんと同じような証言が獲得できていること,さらに,ビデオの映像のBさんやCさんの動作を細かく分析して,「後で番号とかで分かるからいいか」と述べて投票箱に投票用紙を入れた点については,明確な裏付けがあると認定しています。音声がない中ビデオ映像だけでここまでの発言を認定するのは,個人的には少し疑問があるのですが,いずれにせよ,当職らが調査した調査方法自体に信用性があることを前提に事実認定している点は,検査役として任務を果たせたと満足できるものでした。
ウ BさんやCさんに働きかけがあったか
また,オーケー側が,一旦集計されて否決結果が出たので関西スーパーからBさんに働きかけた,Cさんにも事情を事前に説明して,口裏を合わせた可能性があると主張しています。これに対し,大阪高裁は,時間の経過やBさん,Cさんの発言内容から,そのような働きかけを否定しています。ここでも時間の細かい経過,BさんCさんの細かい言動が事実として認定されていることが背景にあります。
エ Bさんの言動はやむを得ないか
高裁は,「株主総会における議決権が個々の株主に認められた株主全体の意思決定に関わる最も基本的な権利で,・・・・上記のように投票のルールの周知や説明がされておらず,そのために株主がこれを誤認したことがやむを得ないと認められ場合であって,投票用紙以外の事情をも考慮することにより,その誤認のために投票に込められた投票時の株主の意思が投票用紙と異なっていたがことが明確に認められ,恣意的な取扱いとなるおそれがない場合には,・・・・議長において,これら投票用紙以外の事情をも考慮して認められるところにより株主の投票内容を把握することも許容されると解するのが相当であり,・・・・」と判断しています。
そして,やむを得ない事情の一つとして,議長が不明な点があれば係の者に尋ねるよう告知し,Bさんは実際に回収担当者Cさんに尋ねたが明確な回答が得られなかったということでやむ得ない事情の判断の重要な要素としているのです。この点もビデオに映ったBさんとCさんのやり取りからどのような事実を認定するか,ビデオが重要な資料となっています。
7 検査役として心がけること
今回の事件で痛感したのは,検査役として積極的に事実関係の確認に資する資料を集めておくことです。本件では,事前準備として,主に本件総会を主催する関西スーパー側との間で,議決権行使書のチェックや委任状のチェックなども含め,合計6回打ち合わせを行いました。さらに,本件総会当日も,前記のとおりビデオ撮影(総会会場後ろから撮影,受付を2カ所から撮影,いずれも関西スーパーに事前に撮影依頼),速記会社への依頼などにより,事実を如何に正確に細部まで保存するかを考えました。また,受付での株主とのやり取りについても,話しをしている様子が認められた際は,すぐに近くまで行って,どのような会話をしているかなどを聴取しました。これらの調査には,もちろん関西スーパー側は協力的でしたが,当職らが要求してはじめて提供してくれる情報なども多かったように思われるので,検査役としては,積極的に情報を集める姿勢で臨む必要があると感じました。
たとえば,最初の否決の集計表については,会社側から受領したというよりは,集計現場で当職らが積極的に集めた情報でしたし,受付で出席した株主が傍聴にするかどうかの説明などについても,重要な説明をしていることは当職らが側に言って確認しないと報告書に記載できない事実でした。
集計会場では,関係者が真剣に集計しているやや重苦しい状況の中,うろうろしてどのようなことが行われているか,集計の方法がどのようなことになっているかなどをいちいち聞いていましたので,関係者に取っては監視されているような思いで,さぞかし鬱陶しいと思われたと思います。もっとも,それが検査役の仕事ですから,遠慮なく調査させて頂きました。その結果,期待に添った報告書の作成に繋がったのではないかと思います。一方,検査役は,一々細かい事実まで調査することは不可能であり,一種のシステムが機能しているかを調査すれば足りるとの見解もあるようですが,本件ではそれだけでは十分検査役の役割を果たせなかったのではないかと感じました。また,当職だけでなく,常置の補助者として二人,その他の補助者で数人という人材を豊富に使えたことも十分調査できた結果に繋がったと思います。
当職らも,検査役を離れると,毎年の株主総会の運営を指導する立場ですが,その観点からも,総会においては投票ルールをより丁寧に明確にし,株主に周知することを徹底する姿勢が如何に重要かを改めて認識した事案となった次第です。
以上
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参考資料
1 時系列
2 その他検査役の活動実態等
検査役と当事者との各種協議
本件総会前 6回(現地確認を含む)
本件総会後 3回
以 上